ノエイン もうひとりの君へ

ノエイン もうひとりの君へから見る、並行世界について知る

2005年放送のSFアニメ

アニメ業界でSFを用いた内容は今昔通して珍しい話ではない、と言うより大人・子供に関係なく現実にはない世界観はいつになっても好奇心を駆り立てられる。最近はなぜかそうしたロマン溢れる世界にお色気シーンが付け加えられて、完全に趣旨を見誤っていないかと突っ込みたくなる要素が多数見受けられるのは、それも時代の流れかもしれません。SFアニメの代表作といえば何だろう、そう考えてみると人の答えによっては年齢やら世代やらがもろバレする可能性もある。個人的にSFアニメと言われて真っ先に思いつくのは『エヴァンゲリオン』だろう。ただこれを見たのが小学生だった時分なので、内容を理解していたかと言われるとそんなわけ無い、いまだ難解な世界観を理解できる人は少ない作品でもあるため、ある種代表的と言えるでしょう。

数あるSFアニメの中で、今回は金字塔とも言われている『ノエイン もうひとりの君へ』について話をしよう。こちらの作品、今から10年前に放送されていたもので、ご存じの方はご存知だろう。ただその頃、今のようにオタク文化が一般的な層にまで広がりを見せていた時代ではなく、まだサブカルチャーだった時に公開されていたことになる。冷静に考えて、よくもまぁオタクの世界がここまで認知されるようになったものだと、感慨深くもなりますがそれはそれとしてだ。

ノエインについてですが、この作品はSFアニメとしては実はリアルタイムで見ていた人たちから評判を集めているとして、ある種有名な作品になっています。4年ほど前にはBD-BOXも発売されている点からしても、デジタルリマスター化されることを待ち望んでいた人が多かったから実現した、そう言えるでしょう。ではここから簡単に作品の概要に触れていこう。

作品概要

今作品についての概要についてまずは触れていきますが、SFアニメの題材として度々用いられるテーマとして大きく取り上げられるのは『並行世界』というものについてです。ここではない、どこか別の時空の世界と簡単に説明しておく。この作品はそんな並行世界から訪れた異邦人たちと現代の主人公たちによる戦いが繰り広げられていく。ただ主人公は小学生となっているので、年齢的な意味では過酷な運命に巻き込まれ過ぎだろう、作品を見ていてまずそう思った。そして戦いが激しさを増していく中で、日常生活を謳歌しながらも迫り来る非日常を冷静に受け止めている姿は、異常すぎるくらいの柔軟性すら感じられる。

アニメなのでそんな点を言及していたら、楽しく見れるものも見られなくなってしまうでしょう。そういう世界なのだと理解して、次に作品の簡単なあらすじに触れよう。

あらすじ

数ある時空の中、そんな‘ありえる’かもしれない世界の1つであるラクリマ時空は別時空であるシャングリラからの侵略を受けていた。地上は荒廃し、地下での暮らしをしなければ鳴らなくなった人々は限界を迎えようとしていた。ただラクリマ側にはシャングリラに対する防衛・自衛手段として『竜騎兵』と呼ばれる超常的な能力を有する戦士たちの活躍により、侵略に対して抗ってみせた。だがそれも数の暴力の前ではラクリマの不利は揺るがず、状況を好転させるためにラクリマは切り札でもある『龍のトルク』の奪取が数名の戦士に命じた。

一方その頃、現代の時間軸では小学6年生の『上乃木ハルカ』は、残り少ない小学校の夏休みを友人たちと楽しんでいた。いつもある日常、ありふれた幸せに満ちた日々で母親と2人穏やかに暮らしていた彼女には、1つ気にかけることがある。それは幼馴染でもある『後藤ユウ』という少年のことだ、母からの強い期待の下で中学受験のために勉強を続ける姿はハルカから見ても強いストレスに苛まれていた。そこで気晴らしにと連れ出した夜、ハルカ達の前に立ちはだる黒いマントを羽織った一団が現れる。

現れた彼らは竜騎兵、そして目の前にいるハルカこそ奪取を命じられた『龍のトルク』そのものだった。付け狙い、連れ去ろうとする一団からユウは必死でハルカを守ろうとする。しかしその中の1人、カラスが裏切りを働いてハルカ達を助けるため、共に行動するようになる。疑問に思う2人だが、カラスはそのラクリマ時空における『15年後のユウ』その人だった。命令に疑問を抱き、何かが可笑しいと感じたカラス、そしてあるかもしれない未来での戦いに巻き込まれていくハルカとユウ、2人が知る真実とは……。

ノエインのパターンでいうと・・

今にすれば

あらすじを見てもらえれば分かると思いますが、今にすればよくある話といれば話でしょう。並行世界で繰り広げられている戦い、それに現代の自分たちが巻き込まれてしまい、鍵となるヒロインを助けるために少年が強く成長していく、王道パターンだ。これがいいんですが、王道も一歩踏み外してしまうとおかしな方へ転がり落ちてしまうため逆に難しかったりする。1つ特徴的とするなら、この作品は一貫して並行世界での戦いがテーマとなっている点だろうか。現在放送されている作品の中にも、並行世界という概念が要素として取り入れられていますが、あくまで一部となっています。2015年夏アニメの中では『Fate/kaleid liner プリズマ☆イリヤ ツヴァイ ヘルツ!』で、主人公の一角である少女が別の世界から来たと言ったところだ。この作品の場合、原作の世界観が既に色濃く成立しているので、並行世界というものが出たとしてもそこまで色濃くは出ていない。

別の世界の戦いに巻き込まれていく、これもテンプレ化した展開といえばそうでしょう。冷静に言ってしまえばアニメの展開はおおまかに言ってしまえばほとんど同じようなものだ。中高齢の人々が見れば、登場人物の顔が全部一緒に見えるという暴言も飛び出てきますが、それはそれで色々なところに問題があるとここであしらっておこう。並行世界に対する概念は物語の内容を濃くするために用いられる要素といえますが、このノエインでは主要テーマの1つとなっている。そう、一貫して並行世界というものが別のテーマとすり替わることなく続いているので、見応えがあるのは評価できるといえるでしょう。

作画について

ただ高評価されている点とは裏腹に、酷評というほどでもないが時代を感じさせる部分もあったりする。作画についてだ、これは当時も何かとそろそろと発展し始めていたネット社会では何かとお祭り騒ぎを巻き起こしていた。それもそのはず、この作品の別の見どころとしては作画を担当する人間が毎回異なるという点でも話題で、見るたびに絵が違っている。よくある話ですが、正直初回放送を見てから段々と回を増すごとにキャラの顔が違っているのは、この業界ではありがちだ。

見ている側にすればいくら納期があるからといってもこれで満足しているのか、などと常々思っている。だが納得していないからこそ後に発売される映像作品では修正されているのでしょう。分からなくもないが、その根性を放送回に持ってきて欲しいと誰もが思っているはずだ。